超音波検査は、苦痛を伴うことがなく、簡単にできる検査です。検査できる範囲も肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、膀胱、子宮など広範囲です。最新の超音波装置では、血液の流れをカラー表示し、血管のつまりを見つけることもできます。検査時間は15~20分ほどです。超音波は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波で、一定方向に強く放射され直進性が高いという性質があります。これを利用して腹部に超音波を発信し、そこから返ってくるエコー(反射波)を受信し、コンピュータ処理で画像化して診断するのが腹部超音波検査(腹部エコー)です。
組織の組成によってそれぞれ基本的なパターンがありますが、腫瘍、ポリープ、炎症、結石などは周囲の正常な組織と組成が異なるため、超音波画像では、正常な組織との境界にコントラストが生じます。そのコントラストから、医師は異常が生じていることを見つけ出すのです。
超音波検査では、腫瘍などの有無だけでなく、その大きさや深達度(どのくらいの深さまで達しているか)も調べることができます。また、映し出される画像は、臓器がリアルタイムで動いて見えます。そのため、検査のための組織を採取したり、臓器の位置を確認しながら治療を行うときに使われることもあります。
さらに、この検査はX線検査のように放射線被爆の心配がなく、検査を受ける人の苦痛もなく安全なため、産婦人科では胎児の診察にも用いられています。
この検査で調べられる臓器は多岐に及び、肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、膀胱、前立腺、さらに子宮や卵巣が対象となります。また、機器の進歩もあって、従来調べられることの少なかった食道や胃、腸などの消化管も検査対象となっています。
なかでも胆石、早期肝臓がんの発見に有用です。胆石は、何らかの症状を認めずに、検診で初めて指摘される場合も多く、保有者の約10%は生涯、無症状で経過するといわれています。?胆石などがあっても腹痛や黄疸などの症状が出なければ問題ないので、胆石や胆のうがんを合併する確立は10%以下です。
C型肝炎ウイルスが原因となっている慢性肝炎は、肝硬変や肝臓がんに移行する確率が高いので、定期的な検査で早期の変化をとらえるために、この検査が頻用されています。
腹部を十分に広く出すため、ズボンやスカートは腰の骨位まで下げます。
検査台に仰向けに寝て、両手を頭の方にあげて、手枕をした姿勢をとります。
最初に、皮膚と音波を出す探触子(プローブ)との間に空気が入らないように、腹部にゼリーを塗ります。プローブを腹部に押し当て、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など腹部内臓器の断面層の画像をモニターテレビでで観察します。検査部位により横向きや座った姿勢で検査を受けます。
この検査は、放射線を使用しないので、被爆の心配はなく、安心して受けられます。
検査時間は部位によって異なりますが、通常10~20分くらいです。
基本的に腹部内に空気が多く存在すると、画像がよく見えません。食事の後では消化管内に空気が発生しやすいため、絶食の状態で行ないます。また、膀胱を検査する場合は尿がたまっているほう詳しく観察できるので、検査前の排尿は我慢するようにします。
結石は、音波を強く反射します。胆嚢内は、液体があるため黒く写し出され、その中に石があると白い像(高エコー像)に写ります。また、音波は石に反射されるため、石の後方にエコーが伝わらない像(音響陰影)がみられます。
ポリープも白い像になりますが、音響陰影を認めないため、両者を区別できます。
肝臓がんは、肝臓内に腫瘍状の薄い白い像(低エコー像)を示します。
GOT・GPT、γ-GTPをはじめとする血液生化学検査や腹部CT検査、腹部血管造影などの画像診断、組織の一部を採取して生検(肝生検・膵生検)や細胞診断を行なったり、肝臓・胆道・膵臓の腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-II、CA19-9、PSTI)検査などをおこない診断を確定させます。
頸動脈エコー検査は、脳に酸素や栄養を送り込む頸動脈と呼ばれる首の太い血管の動脈硬化度を評価する検査です。動脈硬化とは、動脈血管の弾力性が失われて硬くなったり、コレステロールなどが沈着して血管内腔が狭くなってしまう状態です。一般に、動脈硬化症になると血流が悪くなり、最悪の場合には血流が途絶えてしまうこともあります。これが脳や心臓の血管に起こると、脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な疾患をきたします。日本でも生活様式の欧米化により、高血圧、高脂血症、糖尿病などのいわゆる生活習慣病が増加しています。これらの生活習慣病はいずれも動脈硬化症の重要な危険因子であり、適切な予防や治療が行われないと全身の動脈が次第に侵されてゆき、重要臓器の虚血をきたしてしまいます。従って、血管の動脈硬化性変化を早期に発見することは、これらの重大疾患の予防や治療のためにも非常に大切なことです。
この検査では、頸動脈の観察可能な範囲に狭窄や閉塞があるかどうかを調べます。断層像による血管の形の変化(形態診断)はもちろん、血流情報などを介して血管の働きの変化(機能診断)を観察します。医学的にも、頸動脈の狭窄率が70%を超えると脳梗塞などの虚血性脳血管障害の危険率が増加すること、病変が狭窄なのか閉塞なのかを鑑別することが治療方針の決定に重要であること、などが知られています。また、頸動脈はアテローム性動脈硬化の好発部位であることから、頸動脈の硬化の程度を評価すれば全身の動脈硬化度を把握することができます。従って、動脈硬化の危険因子があり、脳血管障害、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症などの血管病を発症する疑いのある症例の予防や早期発見に極めて有力な検査です。日本で行われる人間ドックにおいても、動脈硬化の早期発見やその進展度を評価するためにこの検査を取り入れる施設が増えてきています。
頸動脈エコー検査では、超音波検査用の特別なプローブを首に当てて、頸動脈を観察します。腹部超音波と同様の検査法です。ドップラー効果の原理を応用して、血流をカラーで表示し、狭窄の有無と部位、血流速度、血流の乱れなどを詳しく調べます。体表面からアプローチする超音波検査法は、患者さんの苦痛は全くなく、またX線やCT検査のように放射線を被曝することもありません。血圧やコレステロール値が気になる方、喫煙される方、脳卒中や心臓発作などの家族歴のある方、一度この検査を受けてみてはいかがでしょうか。
この検査は、
【例】
高血圧などで心臓の壁(筋肉)が厚くなっていないか。また、血液をためる部屋(心房・心室)が大きくなっていないかなどです。
心臓は毎日規則正しく働きつづけています。しかし、高血圧や糖尿病、ストレス、疲労などによって心臓のリズムが狂ってくることがあります。リズムが狂った状態を放っておくと、心不全や心筋梗塞などといった怖い病気が起こってきます。
心臓が疲れているときや危険な病気がめく前に迫っているときには、常に独自の信号を発生しています。この信号を一刻も早くとらえる検査が心電図検査です。
特に、40歳以上の方は健康状態がよいと思っている方でも、最低半年から1年に1回は検査をされることをお勧めします。
狭心症(胸をしめつける・・・)不整脈(動悸がしたり、脈がとぶ・・・)などの場合、症状が起こったときに来院してもすぐに症状が改善していて心電図に変化をとらえきれず診断が難しいことがあります。このようなときに、大きな力を発揮するのが「ホルター心電図」です。
家庭や職場で症状が起こった場合でもホルター心電図をつけていると24時間連続で心電図が記録されているため、発作時の心電図変化をとらえることができ、診断がつけられるわけです。また、この検査によって、いつ頃(何時ころ)に心臓の異常が出やすいのかとか、現在の治療方法(薬の飲み方など)が効果的であるかどうかを判定することもできます。
機器の装着は5分程度で済みますが、翌日装着した時間に取り外ししますので、来院していただく必要があります。
これまでの当院のレントゲン撮影は、放射線をフィルム(写真)にあてて現像していましたが、今回の装置はフィルムでなく、デジタル映像として画像を記録し、パソコンの画面で写真をみることができるようになりました。
今回の撮影装置には以下のような機能があります(ほんの一部を紹介します)。
見たい部分を拡大したり、画像を撮影したときより鮮明にできたりします。
小さな病気の発見を見つけ出すのに役立ちます。
過去の画像を並べて比較したりすることが容易にできます。また、それを診察室で医師といっしょに確認できます。
レントゲンは診療時間内ならいつでも可能です。
その他、ご質問などはお気軽にスタッフまでおたずね下さい。